【ながの門前まちあるき】12月レポート・1月告知
2026年1月13日
12月のながの門前まちあるき
『「石」めぐりの旅』と題して、長野市埋蔵文化センター学芸員の塚原秀之さんが案内人となった今回のまち歩き。
塚原さんは大学生の頃、縄文時代の石器に使われた「石」に惹かれ、各地に出かけては石を拾って持ち帰っていました。市の学芸員として戸隠の伝統的な町並みの保存に携わったことで歴史を活かしたまちづくりに傾倒。現在は市内の各地の遺跡の発掘調査に勤しんでいます。
「石」がテーマのまちあるきということで、どんなまちあるきになるか想像もつきませんでしたが、その分楽しみにしながらスタートしました。
まずは塚原さんから「石」についての基礎知識の話から。


石には火成岩・堆積岩・変成岩の三種類あること、それぞれどういう成り立ちをしているか、地球の中の火山や海底・プレートなどどこで生まれることが多いのかなどを教えてもらいました。
特に火成岩の中でも等粒状組織という同じような大きさの粒の集まりでできたものと斑状組織という大きな結晶の隙間に微細な結晶が埋まってできるものとの違いが見た目でも分かるそう。
確か中学生の理科とかで学んだような…と思いつつ、説明を聞いていました。
さらに、まちなかの石を見ていくと、石の種類を見分けるだけでなく、その石が使われるに至った経緯やなぜ残っているのかという歴史も見えてくると言います。考古学的な視点です。
一通り説明が終わった後に出発です。あいにくの雨でしたが土砂降りではなかったのでよかったです。



出発するやいなや、R-DEPOTの敷地境界標に用いられている石を見て、これは何岩でしょう。というクイズが始まりました。
自分は粒の大きさがまちまちだから斑状組織の石なのかなと思ったら、真逆の等粒状組織である花崗岩だそう。粒の大きさは石の分類上ではこれでも大体同じ大きさとみなすみたいです。ということはさらに小さい結晶はミクロの世界でしょうか。
言われてみればよく見るタイプの石で、花崗岩もよく聞く名前の石なので、石の中でもまだ身近な方なのかなと思います。
続いて表参道のカルチュラルセンター前でストップ。こちらの細長い縁石を見ています。


この石も花崗岩という種類だそうで、この辺だと大町や白馬あたりに採石場があるそう。
そして、普段表参道を歩いていて気づかなかったのですが、この縁石は善光寺大門あたりから問御所あたりまで長く続いているそうです。
昔、まだ車が普及する前の善光寺表参道は、北国街道として人の往来がありましたが、道幅は5m程度しかありませんでした。
そこから車が普及して、道路の拡幅が盛んに行われるようになった時代。表参道も様々な変遷がある中で大正時代に大きな拡幅がありました。この縁石はその際、官民境界を示すために作られたもので、当時は路面電車を走らせる計画もあったため、相当広い道幅になっています。
歩きながら見ていくと同じ花崗岩でも色が違ったり新そうなのもあったりします。聞くと色が違うのはインドなど海外から輸入しているかもと。船などで運んでいるとしたらこれもその技術が普及した後なので新しいものなのでは…と採掘される場所・輸送経路などが分かると建設された時代まで推測できるようです。
表参道に面した敷地で建て替えや工事があり、一度壊したとしても再度隣地と揃えて縁石を途切らせない努力を、それぞれの建物・敷地に関わる人々が続けてきた証です。
続いて、R-DEPOT北側の裏道でストップ。まだR-DEPOT出てからほとんど歩いてませんが、話すことがたくさん。まちは情報を持った石で溢れているようです。


3段目の基礎石の模様が特徴的でレンズのような形をした模様が見られます。こちらは柴石という石で、松代の金井山で採石されているものだそう。
柴石は斑状組織を持つ火山岩で、近くの四阿山などの噴火による火砕流が堆積し、熱さや自重で押し潰された結晶がレンズ型の模様として残っているそうです。
また、2段目と3段目で違う石が用いられています。おそらく建て替えなどをした際に一段追加したものだそうです。江戸時代は石の運搬技術も乏しく、善光寺西側の郷路山という近くの採石上からの石が多いそう。明治時代になると松代からも石を運べるようになったため、3段目を追加した際には松代の石を選んだことが推測できるそう。
次に止まったのは鳴子大神という道路脇の小さな神社です。




よく見るとドーナツ型の石の穴の部分に仏像が祀られており、この石の外側には特徴的な模様があります。
これは石臼に使われていた石だと推測できるそうです。石臼で穀物などを挽く際に、挽いた粉が自然と外に流れ出るように溝を加工することがあるそうで、その跡なのではと考えているそう。
また、隣には鳴子清水と書かれた看板が。昔は七清水と呼ばれるほど綺麗な水が流れていた場所だそうで、北国街道を往来する旅人たちや地域の人々が飲み水として使用していたと書かれています。
それも踏まえて考えると、この石は近くを流れる水路の水車を動力として動かしていた石臼に使われていたのではないか。そして、暗渠になってしまった川、そこに流れていた水を象徴する石としてこの石を仏像を祀る台座として転用したのではないかと考えられるそうです。
その後、長野市立図書館でも敷地内に祀られた石碑の逸話(こちらは門前をよく知る参加者の方も教えてくれました)や、「長野市立図書館」と彫られた大きな石がどこから来たのか、どう採石されたのかなどを教えていただきました。


そしてまた表参道に戻り、八十二銀行大門支店へ

八十二銀行大門支店は大正ロマン感じる石造の見た目をした建物です。
実はこの建物は2代目で、先代の外観を踏襲して建てられたそう。
先代の建物が大正時代に建てられており、当時は稲田石という国会議事堂などでも使われるような美しい白色の石を外観に使用していたそうです。
現在の建物はおそらく花崗岩のようですが、先代のデザインを引き継いでいることで街並みが残されています。
そのまま表参道を上がっていく途中で、藤屋御本陳の前でストップ。


こちらも八十二銀行大門支店と同じく、大正時代に建てられた建物です。
外観にはアールデコ様式や古代ギリシア建築の列柱の様式を用いた洋風の造りで、中は和風の数寄屋造りになっているという和洋どちらも楽しめる建物。
表参道の街並みの中で、大正時代の時勢を感じる建物が残されていることで、時代の変遷を感じることができます。
最後に二天門跡の巨石です。


ここから先善光寺の境内に入り、仁王門に向かって行きますというところの両端に人の背丈を超える巨石が。
昔ここに二天門と呼ばれるような門があった名残と考えられるそう。画像などは残っていないみたいですが、この場所に門があったという記述はあるとのこと。
確かにこんな大きい石をわざわざ石垣・擁壁のためだけに用いるとも考えづらいです。
そしてこの石自体の成り立ちについて。この巨石は凝灰岩という火山灰が地表や水中に積もってできる堆積岩の一種です。この凝灰岩がよく見られるのは日本海側など海辺の地域ですが、長野の善光寺境内に、そしておそらく輸送技術もない時代にこの巨石が使われています。
実は長野の善光寺付近では裾花凝灰岩という石やその地層がよく見られます。数百万年前、長野は海の底にあり、地殻変動により隆起したことを示しているようです。
この巨石を見るだけで、数百万年前のこの土地にまで想いを馳せることができるというのはすごい体験だなと感じます。
その後、Cafe&Gallery MAZEKOZEでお茶をし、まちあるきの振り返りと参加者さんとの意見交換などをして、解散しました。
石が残っていることで、知っている人が見ればこれだけの歴史が語られることに素直に感動でしたし、それだけの歴史を持つ善光寺門前町の魅力に改めて気付かされるようでした。
ご参加いただいた皆さん、案内人の塚原さん、協力いただいたお店の方々、ありがとうございました!
1月のお知らせ


1月31日(土)10:00~12:00
案内人は長野市まちづくり課職員の 尾町 光穂(おまち みつほ)さん。
タイトルは、『まちなか耐震事情』
案内人コメント:空き家リノベは魅力的な反面、災害の時どうなるか不安もあると思います。
1月といえば能登半島地震、ということで防災特集と(勝手に)銘打ち、耐震目線でまちを歩いてみます。
コース
長門町元衣料品店
↓
OESTE
↓
西之門よしのや
↓
善光寺地震の災害痕跡
<開催概要>
日時:1月31日(土)10:00〜12:30
参加費:1000円 (U22無料)
定員:10名
申し込み:電話 026-219-2280 メール info@r-depot.com
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