REPORT

もんぜん、不動産の世界

2022年10月19日

14:00~16:00

参加者:10人

 

【案内人】

長崎美桜(長野市都市整備部まちづくり課)
不動産会社から転職し、今年度入庁したピカピカの(?)1年目職員。前職では住宅一筋、新築住宅の開発や販売に携わってきました。
現在は「長野市中心市街地遊休不動産活用事業」の担当となり、不動産とは切っても切れない縁を感じている今日この頃。

 

【コース案内】

「不動産屋の基本はまちを知ること、歩くこと!」と言われ続けた元不動産屋の私ならではのまちの歩き方を、私的物件探し・インテリア選びのポイントとあわせて紹介します。
一緒にもんぜんまちが住みやすい場所かどうか改めて自分の足で検証してみましょう。

 

【コース】

楽茶れんが館

善光寺郵便局
私がまちなかでまず確認してしまうのは金融機関、スーパー、駅、飲食店・・普段は曜日や時間を変えて観察してみます。
築100年ほどの建物の歴史にも触れながら、資産価値の下がりにくい不動産について私の独断と偏見でお伝えしようと思います。

Roger
インテリアや雑貨は不動産に+αの付加価値をつけてくれるもの。まとまりのある空間をつくるには、家具や雑貨の配置にも少しコツがあります。
善光寺門前の雑貨屋さんに立ち寄って素敵な出会いを探してみましょう。

大門南交差点付近
大門南交差点付近にある不動産をみながら物件選びの際にチェックすべきポイントをご紹介します。

ぱてぃお大門
建築基準法には「一敷地一建物の原則」なるものがありますが、ぱてぃお大門は複数の蔵によって成り立つ商業施設です。
その理由にも少し触れながら、動産と不動産の違いや最近の不動産市況などざっくばらんにお話ししようと思います。

 


 

本日のまちあるきは長崎美桜さん(長野市都市整備部まちづくり課)の「もんぜん、不動産の世界」。

前職で「まちを知ること、歩くこと!」がモットーだった元不動産屋さんの視点から、「まちの歩き方」や「私的物件探しのポイント」「インテリアの選び方」などをご紹介いただきます。

 

まずは八十二銀行大門町支店前へ。

 

 

前職では大都市のタワーマンション開発にも携わっていたという長崎さん。

八十二銀行大門町支店に使われている「御影石(みかげいし)」は、マンションの開発時にも外壁やキッチンの天板などによく選んでいたそうです。

「御影石(みかげいし)」の特徴は、耐水性があり丈夫なこと。

逆に高級感でおなじみの「大理石」は吸水性があり壊れやすい特性があるため、内装でしか用いられないそうです。

 

言われてみれば、大理石で覆われた建物ってないですよね…

一同、おもわず「へぇ~!」でした。

 

 

お次は「善光寺郵便局」へ。

 

長崎さんが物件を開発するにあたってまず確認するのは、その街の金融機関、スーパー、駅、飲食店など。

位置だけでなく、出入口のスロープの有無、ATMの稼働時間、最寄りスーパーの特売時間帯なども曜日や時間を変えて細かく観察していたそうです。

 

「ベビーカーを押した人にはどうなのか」

「移動手段は自転車があった方が便利かもしれない」

 

など、何がメリット・デメリットになるのか、商品(=マンション)を使うさまざまな人を想定して情報をあつめていたとか。

「それってまちづくりの視点にも通じるね」と参加者の方が言っていましたが、本当にそうですね。

 

 

まちなかで時々見かけるこんな車を例に、「動産」と「不動産」の違いについてもお話がありました。

大雑把には「動くもの」「動かないもの」に分けられますが、登記が必要なものは「不動産」に分類されるとか。

なので、車は「動産」。

だけれども、登記が必要なので「準不動産」的な扱いになるそうです。

(車輪を取ったら完全に「不動産」で固定資産税もかかる)

 

そんなお話をしながら北上して、お次は西之門町の雑貨屋さん「Roger」へ。

 

 

長崎さんがプライベートでもよく訪れるというこちらのお店。

お皿や食器、文具など、幅広い生活雑貨が並んでいます。

 

 

前職では開発した物件のインテリアコーディネートもしていた長崎さん。

家具や雑貨は、選び方によって部屋の印象に「+αの付加価値をつけるもの」。

・低い家具

・丸みを帯びたデザイン

・寒色系の内装

・色味はベースカラー7割+2色まで

を意識すると、室内が広くまとまりある空間に感じられるそうです◎

 

 

ちなみに「配線などの曲線(ごちゃごちゃ)は隠して、直線でまとめた方とよりすっきりするんですよ」とのこと。

 

参加者の方々もすかさずメモっていました。

 

 

お買い物も満喫した一行は、仁王門を横切って東之門町を通りながら南下。

道すがらの飲食店やゲストハウスにたびたび足を止めつつ歩きました。

 

 

406号線に近づいたあたりで見えてきたのが、田町の『レーベン長野 THE MID TOWER』マンション。

長野市で唯一のタワーマンション(通称:タワマン)です。

「ところでタワマンって、何をもってそう呼ぶか知っていますか?」と、長崎さん。

不動産業界では20階以上を「タワーマンション(通称:タワマン)」と呼ぶそうで、建築基準法でも60m(ちょうど20階くらい)を超えるものを「高層建物」に分類しているそうです。

 

 

406号線沿いに歩いて「ぱてぃお大門」へ。

この車…も、不動産ですね!

 

 

「ぱてぃお大門」では「一つの土地に一つの建物を建てるのが基本」の法律がある中で、なぜこの敷地にはこれだけの建物できているかの解説をいただきました。

建築基準法に適した建物に接していれば接道基準を満たさなくてもOKな「連帯建物建築設計制度」を利用しているのではと長崎さん。

建築基準法に照らしてみると、まちなかの景色もまた違ったおもしろさを感じられますね。

 

 

そのまま表参道に出て、南下して「大門南交差点付近」へ。

 

 

この場所はもともと「かえり橋」と呼ばれる橋があった場所でした。

道路下には今でも川が流れており、かつて善光寺参拝に訪れた源頼朝が、橋の上で往生院(権堂)の蓮を思い出して振り“かえった”ことが由来になっているそうです。

 

 

表参道の通りには景観を守るための条例があり、色や建物の高さ(15m以上不可)などに制限があります。

周囲の建物は景観の連続性に配慮したデザインになっており、

 

 

こちらのマンションも「優良建築物」として景観に配慮したデザインが特徴。

上を見て「ここがマンションだって初めて気づいた!」という参加者の方もいらっしゃいました。

 

 

道端にある消火栓も一般的には赤色ですが、景観に合わせてシルバーに。

このシルバーは長野市が全国で初めて取り入れた(!)色だそうですが、長崎さん調べによると表参道のどこかに一ヵ所だけ赤色の消火栓が紛れているそうです。

お散歩がてら、ぜひ見つけてみてください。

 

 

隣接する別のマンションの前では「間取り以外でチェックすべきマンション選びのポイント」のお話もありました。

・正面だけでなく、奥からも見てみる

・管理状況(ゴミ、落ち葉、草、雪かき、駐輪場)が悪いと後々修繕費がかさんで自分の資産にもダイレクトに影響する

・築年数は昭和65年以降が耐震基準(震度6~7に耐えられる)も十分でおすすめ

 

 

そのほかにも、長崎さんは駐車場の車種を見てご近所さんの雰囲気を掴んだりもしていたそうです。車高がある車が多いエリアでは、駐車場を作る時も高さなどに配慮が必要だとか…

チェックポイントも本当にいろいろありますね~

 

 

先ほどの「かえり橋」で頼朝が振り返った「往生院(別名:蓮池庵)」は、権堂アーケードの西側にあります。

「権」というのは「副」「2番目」という意味があるそうで、頼朝が善光寺を再建する際に善光寺如来をこちらに移し「善光寺の仮のお堂(=権堂)」としたことから、辺り一帯の地名も「権堂」になったとか。

 

 

最後は青空がまぶしいセントラルスクゥエアへ。

参加者のみなさんかのざっくばらんな質問に答えてまちあるきは終了しました◎

 

 

最後に参加者の方が投げかけた

「前職でおもしろかったことは?」

という質問に

「不動産は人が使うものであり、まちの一部。機能のひとつとして、どんなものが必要か?という視点でまちの歴史や雰囲気を毎回深めていました。まちの顔を作っている、というおもしろさはありましたね」

と答えていた長崎さんでした◎

 

(同行:大日方)