REPORT

善光寺・門前を掘る

2022年4月20日

14:00~16:00

参加者:11人

 

案内人:宿野隆史(長野市役所 文化財課 係長(学芸員))

 

【プロフィール】
幼少より、栃木、北海道、福井、福岡、愛知、富山と転居を繰り返し、1998年より長野市に定住。主に善光寺・松代地区の文化財担当。

 

【コース案内】
善光寺・門前の地表下には、長い歴史の経過とともに善光寺と共に生きた人々の営みが「遺跡」として残されています。
創建の謎に迫る古代瓦、源頼朝の命を受けた再建と大規模な造成、門前町の繁栄など、これまでの発掘作業で発見された遺跡や地形から、往時の善光寺・門前の姿を想像してみませんか?

 

【コース】

楽茶れんが館

酒饅頭本店つるや前~武井神社東
鐘鋳川(かないがわ)を歩きます。大部分が暗渠になっていますが、耳を澄ますと、水の流れる音が聞こえます。
竹風堂
東西に延びる鎌倉時代の溝が発見されました。江戸時代のお金(一分判金)も出土しています。
大本願 明照殿
1000点を超える多量の古代瓦が出土。滋賀県の湖東地域の瓦と酷似した珍しい瓦も発見されています。
仁王門東
鎌倉時代の建物跡が発見されています。
さらに下層からは古代の漆喰壁や大型塑像(そぞう9の破片が多量に出土しています。

 


 

4月20日(水)14時〜
宿野隆史さん(長野市役所 文化財課 係長 (学芸員))の『善光寺・門前を掘る』を開催しました。

 

本日はまさに「ブラ宿野」。

 

門前界隈の坂や道や川が今の姿になったのはなぜなのか、この景色の下にはどんな物が埋まっているのか…
歴史に詳しくなくともわくわくしてしまうお話が満載でした。

 

 

門前定番の建物。
その外壁(私たちが見ている姿)と内側の造りの違いや、そこに携わった宮大工さんのお話を伺ったり、

 

 

昔、参道入口には南大門があって、本堂の敷地は仲見世あたりまであったというお話を伺ったり。

 

 

中身を掘り出して空洞で作られている仁王様は、持ち運びが可能なだけでなく自重で立つ美術工芸品としても非常に優れた作品だとか、

 

 

仲見世あたりまで平らな地形になっている理由や、本堂の敷地に沿って川の流れが変えられている湯福川についてなど。

 

 

「昔ながらの地形を生かした都市整備」を行ってきた長野市の今の姿を川の流れを辿って体感したりもしました。

 

 

川の合流地点が二層構造になっている場所。

見ているだけでわくわくします。

(なぜそうなっているかの説明を聞き逃してしまいました)

 

 

出土したであろうものをさりげなく飾られているお宅。

この一帯はちょっと掘ればこの類のものがたくさん出てくるらしいです。

 

 

川沿いの石垣に使われている石(※この写真の石垣ではない)は、松代から持ってきた〇〇石で…なんていう話もしていだきました。

穏やかな口調でよどみなくお溢れる景色ひとつひとつへの解説。

知識量があるだけでなく、それを楽しんでいる方のお話ぶりは人を惹き付けるものがありますね。

 

 

「説明だけではイメージがわかないので休憩がてら」とちょっ蔵おいらい館へ。

 

 

その2階の広間には、なんと宿野さんがわざわざ市立博物館から持ってきていただいた本物の出土品の数々がありました!

 

↓善光寺境内や仲見世、仁王門付近で出土した漆喰壁や瓦、何かの像の一部と思われる破片

 

仲見世付近で出土した昔のお金や、善光寺周辺で出土する瓦の破片。

お金は持たせていただいた(※大サービス)ら、小さいながらもずっしり重かったです。

 

 

ひとつひとつ丁寧な解説をいただき、参加者のみなさんも気になったことなど質問されていました◎

なかなか贅沢な時間です。

 

 

最後に東町屋台蔵を見学。

2月に井口さんのまちあるきで町の方の視点から解説頂いた場所でしたが、文化財担当としての解説もいただくとまた違った視点で見ることができました。

 

 

歴史って普段は遠い世界でいまいちぴんと来ませんが、体験と解説が一致すると急に身近な存在になることを今日は実感!!

宿野さんは「今日の内容は一部分なのでぜひ自分で興味や関心を広げてもらえれば」と最後におっしゃっていましたが、でもやっぱり、もうしばらくは宿野さんのガイド付きで知識を深めたいと思ってしまった同行者でした。

ブラ宿野、おもしろかったです。

 

(同行:大日方)