REPORT

大正期の自由教育と白樺派

2018年3月16日

14:00~16:00
参加者:  8人

【案内人】加藤亜希子
株式会社まちづくり長野 事業推進担当

 

 

【プロフィール】
東京都生まれ。2016年から長野市に住む。

繊維業界・出版業界を経て現在は公共施設の運営管理業務に従事。

古いものが好き。染織文化史と民藝に強く関心を持つ。

長野県民藝協会会員。

 

 

【コース案内】
長野県の教育は明治期に県知事自ら人材育成を説いたことから始まり、大正期はその中枢機関である長野師範学校と付属小学校や市内の小学校の若い教師らが熱心に活動していました。当時の教師たちがいた小学校の跡地を歩き、大正期に活発化した市民活動に利用された旧蔵春閣のエピソードなどを紹介します。

 

 

【コース】
 後町小学校跡地

平成24年度末に130年余の歴史を閉じた後町小学校。

信州白樺派の重要人物の一人、笠井三郎らがいました。

長野師範学校付属小学校跡地

長野師範学校の前身は、明治7年に東之門宝林寺念仏堂内に置かれた長野師範学校講習所です。

実験的な授業や新しい教育法の実践などを行いました。県内外から授業参観が多いモデル校でした。

蔵春閣

明治19年開設の城山館に加え、明治40年に東館として建設されました。

その後は音楽堂も造られました。

大正期には政治や文化芸術の活動が活発化し、盛んに利用されました。現在の蔵春閣は昭和42年に完成しました(3月末で閉館)

萬佳亭

城山公民館からすぐの場所にある明治38年にできた懐石料理のお店。

市内を一望できる眺望が人気です。こちらでコーヒーを飲みながら休憩します。

 

 


 

最初の訪問場所は「後町小学校跡地(現県立大学後町キャンパス)」。

2018年4月以降は県立大学の寮となりますが、閉校した平成24年度末には実に130年の歴史を刻みました。

 

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日本で初めて特殊学級が設立されたり、信州白樺派の笠井三郎らがいたりと、当時から長野の教育に対する意識の高さが伺えます。

 

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北上して訪れた先は「長野師範学校付属小学校跡地(現信州大学教育学部)」。

 

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元々は明治6年に長野之門法林念仏堂内に開設された長野師範学校講習所。

長野師範で教鞭を執った方たちは、海外へ留学経験をもとに教育へ還元したこともあり、実験的な授業や新しい教育方法の実践も行っていた様子。

 

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さらに北上し「蔵春閣(城山館東館/現城山公民館別館ホール)」へ到着。

残念ながら2018年3月末で閉館するこの場所。

 

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集会場や貸席から始まり、公会堂を経て、ダンスパーティーや結婚式なども催され、その歴史は常に多くの人が集う場所であり続けました。

ちょうど訪問した時には社交ダンスの練習がされていたおかげもあってか、華やかさが今でもしっかりと色濃く残る空間です。

 

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お茶休憩はすぐ近くの「蔓佳亭」に。

開店前の時間に特別にコーヒーをいただきました。

 

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なんといってもここからの眺望。

長野市内を一望でき、伸びやかさを体感できます。

そんな心地良い場所で、参加者同士の会話も自然と弾んでいました。

 

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冬の残り香を感じるこの日でしたが、多くの方にご参加いただけました。

学生さんや遠方からの方もいらっしゃり、いつもより幅広い方々の関心を集めたようです。

文化や芸術から紐解く今回のまち歩き。

単純に建物の外観を眺めるだけでは深くは知ることの難しい、そこで営まれた人の息遣いや意識を感じ取ることができました。

 

 

(受付・同行・撮影 高島)