REPORT
池波正太郎・落語 蕎麦と酒
2015年12月5日
「池波正太郎・落語 蕎麦と酒」
12月5日(土)15:00〜18:00
案内人:小林栄一(長野市都市整備部 まちづくり推進課)
法曹界を目指していたが進路変更し「人の気持ちに寄り添い、身近な人のお役に立ちたい」という思いから長野市役所へ奉職。都市整備部まちづくり推進課におつとめ。一児の父。「悪を知らずに悪を取り締まれるか!」鬼平の言葉に衝撃を受け文庫本を読み漁った小林さんが、池波正太郎ゆかりの地を落語のエッセンスを交えながら案内します。
東町ベースに集合し
五明館
風月堂
犀北館
古道具そらしま
北野文芸座
二本松
を歩いて回りました。
参加者は9名。池波正太郎ファンの方、パートナーが池波正太郎ファンだという方、落語好きな方などが集まりました。
さて、集合場所は前回と同じく東町ベース(長野市東町146-3)です。案内人の小林さんの手には池波正太郎さんの書かれたエッセイ『散歩のとき何か食べたくなって』。池波さんの見た風景をおいかけて善光寺表参道をのぼります。
善光寺表参道をのぼる途中でふと足をとめ、本をひらく案内人小林さんのまわりに参加者があつまります。池波正太郎さんの言葉、原文の朗読に耳を傾けます。
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「はじめて泊った旅館・五明館は私の定宿となってしまうほど、 清潔で食事がうまくて、人なつかしげな宿で、 この五明館が経営している[銀扇寮(ぎんせんりょう)] で食べさせるものは、みんなうまい。 だれを連れて行っても満足してもらった。」
・
「朝になると、五明館のハムとタマネギのオムレツで、 先ずビールの小びんだ。
それから宿を出て、取材に松代へ通うこともあったし、 戸隠山へ出かけたり、ぶらぶらと町を歩くこともあった。」
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「朝になると、五明館のハムとタマネギのオムレツで、
それから宿を出て、取材に松代へ通うこともあったし、
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池波正太郎さんが定宿にしていたといわれる五明館、現在は郵便局となっている建物を眺めます。今はなくなってしまった銀扇寮で食事をしたことがあるという参加者の方もおりました。
・
「リンゴの盛りのころの夕方から宵ノ口にかけて、 旅館を出て善光寺の楼門を入って行くと、 夕闇の中にリンゴの香りが濃密にただよっている。 露店のリンゴ売りが、まだ店を出しているのだった。
そうしたとき、しみじみと、(ああ、信州へ来た・・・・・・)
と、おもわずにいられなかったものだ。
散歩の帰りに、風月堂の[玉だれ杏]を買って来て、 夜ふけの宿で食べるのも、信州の旅らしい。」
そうしたとき、しみじみと、(ああ、信州へ来た・・・・・・)
と、おもわずにいられなかったものだ。
散歩の帰りに、風月堂の[玉だれ杏]を買って来て、
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次にむかった風月堂では、池波正太郎さんがこよなく愛したというお菓子「玉だれ杏」をいただきます。試食用にと玉だれ杏を提供してくださいました。ありがとうございます。はじめて玉だれ杏を食べた方もいて、お土産にとお買い物時間となりました。今でも、池波正太郎さんの命日には、奥様が玉だれ杏を注文してくださるのだと店主の方がおしえてくださいました。
・
その後は落語にゆかりのある場所をめぐります。
北野文芸座では、ステージにあがらせてもらうという経験も。小林さんによる「お血脈」善光寺が登場する落語の紹介にはじまり、落語家さんにまつわる話などを聞きました。落語界初の人間国宝の柳家小さん師匠は、長野市出身だとか。たぬき、酔っ払い、泥棒の登場する噺が好きな小林さんのお気に入りは「化け物使い」に「親子酒」。夏目漱石が「三代目小さんの落語を聞くことができ幸せだ」といったそうだが、小林さんにとってのそれは古今亭志ん朝師匠。「井戸の茶碗」「二番煎じ」「愛宕山」 など好きな話をあげろというのが難しい…。「落語は人間の業の肯定だ!」と名言をのこした立川談志さんはこの北野文芸座のホールをべたぼめしたことがあるのだとか。3月に北野文芸座で独演会があります春風亭一之輔は注目の若手なんだとか。参加者のかたたちも、それぞれ熱くお気に入りの落語家さんの話をするなど、賑やかに盛り上がった時間です。このころにはすっかり打ち解けてあつい会話を繰り広げる参加者のみなさんでした。
「田舎料理-日本そば 二本松」で蕎麦と酒と会話を楽しむ時間。
野沢菜の漬物、おひたし、サバ味噌、蕎麦にお酒をご用意いただきました。今回のまちあるきにぴったりのメニューありがとうございます。小1時間ほどでさらり切り上げる「大人のお酒の席」はなかなか素敵だなぁ、とおもいました。これにて3時間におよぶまちあるき(うち1時間はお酒の席)は終了。
案内人小林さんが締めの言葉代わりに読み上げてくれた池波正太郎さんの言葉が胸に染み渡ります。
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「車輛の騒音も凄まじくなってしまい、 ゆっくりと道を歩くこともできなくなったが、 それでも夜になって、暗い裏道を歩くと、 むかしの面影が色濃く残っており、(生涯に一度、 長野の町に住み暮らしてみたい)というおもいを、いまだに、 私は捨て切れずにいる。」
・
「生涯に一度、 長野の町に住み暮らしてみたい」そんな風に池波正太郎さんが言うこの長野のまちに暮らしているわたしたち。そう思うとなんだかとても幸せな気持ちになれるのでした。
小林さんのお人柄、池波正太郎と落語への愛情の伝わるまちあるきでした。
・
こんな風に案内人の個性の強くでた「まちあるき」はなかなかおもしろいものだなぁと思いました。テーマも池波正太郎、落語とはっきりとしていたからか、参加者のなかには「案内人よりもきっと僕のほうが池波正太郎のこと好きだと思う。僕はね池波正太郎ゆかりの場所をめぐっていて…」なんて情熱あふれる方や、「最近のお笑いはだめよ、おもしろくないことをいっても観客が笑うからいけないんだわ、芸人が育たないの。落語だってね、へたくそな落語はちゃんとへたくそだって観客がしめしてあげることで落語家がそだっていくのよ…」と落語の話をされる方がいたり、と、濃い会話が繰り広げられていました。テーマをはっきりとうちだしてあげることで、参加者もさんかしやすいし、おしゃべりにも花がさくようです。このあとの二次会でも話は尽きることなく盛り上がりました。こんなまちあるきを、またひらいてみたいなぁと、同行しながら思いました。
・
まちあるき運営補助を担当する「まちくらし-たてもの案内所」(この報告記事を書いているものでもあります)にとって、2回目となるこの回では、前回いただいたご意見をふまえ、「参加者の自己紹介」から、まちあるきをはじめてみました。名前、出身地、いま暮らしている場所、このまちあるきへの参加を決めた理由などをお話しいただきました。記念に集合写真もたらせてもらいました。3時間にわたる「まちあるき」ですから、参加者の方にとって、隣の方の名前がわかったほうが少しリラックスできて、少し居心地のいいものになりますよね。案内人の補助として同行するわたしにとっても、最初の自己紹介は貴重な時間でした。毎回少しづつ、まちあるきのスタイルも改善してみようと思います。
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「ながの門前まちあるき」
知っているようで知らないながののまち。
案内人と歩くと見えてくる、いつもと違うまちの景色。
ときにはゆっくりと、まちの息づかいをかんじてみるのもいいかもしれません。
定員:各回10名(要申込)
参加費:1000円+飲食代実費
集合時間:開始時刻の10分前
*少雨決行、荒天中止
*まちあるき中の体調管理や事故、トラブルに関しては自己責任でお願いいたします。
集合場所:東町ベース
長野市東町146-3
(新小路カフェむかい。シェアショップ+アトリエWANDERLUST入り口よりお入りください)
主催:中心市街地活性化協議会
企画協力:ナノグラフィカ
問い合せ:古道具そらしま 090-1553-1483(午前9時から午後6時まで)
運営協力:まちくらし・たてもの案内所
(真子・記)
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