REPORT

まちの植物図鑑~夏~

2020年7月17日

7月17日(金) 8:00~10:00
参加人数:  8名
【案内人】
井田秀行(いだ ひでゆき)信州大学教育学部理数科学教育講座 理科教育コース教授
【プロフィール】
専門は植物生態学。学校の先生を目指す学生たちが、学校の周りの草花について子どもたちに熱く語れるようになることが一番の喜び。
【コース案内】
まちなかの森や路地裏の雑草をめぐります。
前回の「~春~」とは違う草花を観察します。
【コース】
楽茶れんが館

松葉屋家具店···森のなかにまちがある…そんな夢の実現に向け、七代目店主が店舗に隣接する空き地に育て始めた若い森とふれあいます。

東町ベース···ほどよくリノベーションされた街中の路地で小さな自然を探します。

天神社(長野天神)···裏路地に鎮座する小さな天神さん。古い境内の自然に触れます

ひまわり公園···官庁街にあるコンパクトな森の緑陰でホッと一休み

当日は雨が心配されましたが、曇りのまま出発です。
自己紹介では、普段から草花が好きな参加者の方々
が集まり、本日のコースに期待高まりました。
昨年度の「まちの植物図鑑ー春ー」に引き続き、今回は第2弾「夏」コースの開催となり、コロナ感染のニュースがある中で参加者の方々もしっかりマスクを着用し参加に臨んでいただきました。
最初の松葉谷家具店前へ行く前に、ぱてぃお大門にて既に発見。

見つけたのは、夏から秋に咲くヒメムカシヨモギ。白い花が咲き、冬でも咲く強い雑草。

もうひとつ、オオアレチノギク。ヒメムカシヨモギに似ていいますが、手触りが違います。

井田先生は、雑草は花が咲くまで何の雑草かわからないものだと説明をしてくれました。

イヌワラビ。 いぬという言葉は、古語のいぬ…「役に立たない」「そうじゃない」という意味

直訳すると「ワラビジャナイ」かな?

さらに、外来種の「イモカタバミ」、割と綺麗な黄色の花が咲く「のげし」も。

 

こちらは、「やぶがらし」 5枚で1組の葉となっている日本の種。外来種もあるそうです。

「これは品のない名前で、オッタチカタバミと言います」と先生。
「適当に名前つけられてかわいそうですよね」と井田先生の雑草愛が溢れます。

「アメリカイヌホウズキ」 かわいい花が咲いていました。

カヤのように裂ける「カヤツリグサ」日本種

写真で見えるミントは「アップルミント」

えのきに葉っぱが似てることから、「えのきぐさ」

歩道の花壇の中でも何種類も見つけることができて、普段通り過ぎる場所が興味をそそる一角に変わります。

「雑草は勝手に取っても誰にも怒られないですからね!」と、

採取しまくる井田先生を先頭に、駐車場の隅っこやいつもは嫌な感じで近づかない蔦の這っている建物の壁に向かい、わいわいと雑草観察を楽しみます。

 

灯台草の仲間 「えのきぐさ」 ちいさな花が咲いていました。

「これはなんでしょう?」と井田先生からの唐突な質問。
「これは小さいですが樹木です」

参加者の方から「桐?」

「そうです!」結構まちなかに大きく育って雑草のように生えている桐がたくさんあるのだとか。

ということで、
「これは樹木だけど、雑草にしましょう!」

 

「ヘクソカズラ」学生たちには、においで覚えろと教えているそうです。

名前は悲惨だけど、「灸花(やいとばな)」、「早乙女カズラ」と別名も持ち合わせています。
見たことある方がほとんどだと思いますが、ラッパのような、ちいさな花がピンクで可愛い。
実が黄土色でキラキラしてリースなどに使われこともあり、なじみがあるかもしれません。

ようやく松葉や家具店の裏庭に到着。

ここでも様々な草花を早速見つけました。

「シロツメクサ」 昔輸入の梱包材として使われていたといいます。
豆科植物で、茶色くなった花は、受粉終えた花で、下に垂れてくるのだそうです。

「つくし」と「すぎな」
つくしはなんとスギナの花だそうで、成長段階で土の養分がないとつくしになるんだとか。

スギナ(つくし)はシダ植物で、良い土のある農家の敵でもあります。根も深く、非常に強い雑草。

黄色の花「ハハコグサ」がまだ咲いていました。春に咲く花だそうです。

小さい頃はオオバコ相撲で親しまれていた「オオバコ」
大学生の子たちは知らない子もいるということで、井田先生が「オオバコ相撲」を教えているのだそうです。維管束すごい、参加者の方からは「春先は天ぷらが美味しい」というお話も!

オレンジ色のポピーのような、どこにでも咲いている「ナガミヒナゲシ」もう花の季節は終わりましたが、どこにでも生える雑草です。

猫じゃらしの「エノコログサ」

食べられないタデ「イヌタデ」

雑草化した樹木2つ目「桑」

赤い実のつく「ヒヨドリジョウゴ」

掃き溜めに咲いたために名付けられた「ハキダメギク」

「コオニタビラコ」は、春の七草の「ホトケノザ」

本当のホトケノザはシソ科で赤い花が咲く

ここで井田先生「ありました!ペラペラヨメナ。」
あ、こんな感じのハルジオンみたいなやつ見たことある。

でも、名前はなぜか「ペラペラ・・・」(ペラペラの名前は何種類かあるらしい)
今回は井田先生の目視確認でも、「ペラペラヨメナ」か「ペラペラヒメジヨン」か判別できませんでした。
すると・・
「どちらかわからないけど、みなさんの人生を大きく左右する問題ではないので、ペラペラヨメナでいきましょう」
(井田先生・・!)

 

「アメリカセンダングサ」葉っぱがギザギザなのが特徴的。

「スベリヒユ」
多肉植物で食べれるそうです!(よく見る這うように伸びる赤い茎の雑草、他国では一般的に食べられている植物で、日本では雑草化しているのだそうです。)

 

細かい爪の先のような白い花が咲く「ツメクサ」先ほどのシロツメクサとは違います。

鳥の爪に似ていることから「ツメクサ」という名前に。葉っぱが細いのが特徴。

 

「コニシキソウ」葉の裏につぼみのようなものがついています。
地面を這うように生えていて、アリに受粉してもらい、種を広げるのだそうです。(かしこすぎる)

 

「のぼろぎく 野襤褸菊」毎回名前を聞く度に、雑草が不憫に思えてきました。

これも春の花、小さな黄色の花がさき、つぼみのように見えるのですが、これで満開です!

「マツバギク」多肉で、乾燥に強い。最近は絶賛雑草化中の草花です。

 

「むぎくさ」わしゃわしゃで茶色く輝いておりました。

麦にそっくりですが、食べられません。

「紫ツユクサ」 これも雑草化中。
可愛い紫色のツユクサです。 庭に生えていたものから、種が舞って雑草化となってきているそうです。

天神社に到着し、奥に草を見つけては駆け寄るみなさん。
モサモサに覆い茂る雑草に期待高まります。

早速、「ツユクサ」キレイな青色の色水で染めに使えます

巨大ねこじゃらし、「エノコログサ」はアワの原種。なんと食べれるそうです!
おいしいのかな。

切株にも雑草が生えていました。

周りから、「おにのげし」

「イノコヅチ」名前ユニークでも、特徴はなし

「イヌムギ」食べれず、アレルギーの原因となる雑草だそう

様々な種類が見つかります。

ついに発見「ギシギシ」
こちらも信じられない名前ですが、タデ科の雑草です。
なんで「ギシギシ」という名前にしたのか・・・

 

花は枯れてしまっていますが、「ヤブカンゾウ」、ニッコウキスゲと同じ仲間だそうです。

本日何度目かの登場「オオアレチノギク」咲いていました

小さな白い花ですね。

 

 

「ヒメジヨン」と「ハルジオン」
花はとても似ているので、見た目で判別は出来ません。

摘み取ってから、茎がストローになっているのが「ハルジオン」
詰まってるのが「ヒメジヨン」 今頃の時期は両方はえるのだそうです。

 

外来牧草として日本に入ってきた「コヌカグサ」

「ヒルガオ」は外来種でこれらは明らかに誰も植えていないため、雑草です!

元々鑑賞用に持ち込んで、繁殖してしまっています。
アサガオはあまり広がって生えないので雑草化することは少ないと井田先生から。

クズなどは、逆に日本から出た種が海外で問題になっているんだそうです。

ようやく最終地「ひまわり公園」に到着。
井田先生がぶたなを発見し、駆け寄る皆さん。

ブタが食べるから、ぶたなという名前です。

 

こちらの最終地ひまわり公園の「ブタナ」にて最後の雑草となりました。
全部で、今日見つけられた植物(雑草)は、なんと56種類もありました!

井田先生からは、これだけ多くの種類は山の観察会でもなかなか見つけられない、まちなかでは様々な状況下の中でそれぞれの雑草の多種が生息していることがわかりますねとお話がありました。

普段、気にも留めない雑草もちゃんと名前があって、厳しい様々な状況下で強くたくましく生きているのだなと思いました。
これからはそんな雑草たちもかわいく見える存在になりそうですね。

今回も参加していただいた皆様、お疲れ様でした。
先生からは「まちの植物図鑑~秋~」も機会があれば開催していただけるということでしたので、是非楽しみにしたいですね。