REPORT

日本伝統文化門前プチ入門

2024年3月8日

2月26日(月)10:00~12:00
参加者:5人

【案内人】
塚田 結子 《 つかだ ゆうこ》(編集者)

編集室いとぐち、そして案在企画室の一員として、暮らしまわりの編集・執筆・スタイリングを生業にしています。今回めぐるのは、当方にも馴染みのないお店ばかり。取材同行のつもりでご参加ください。

【コース案内】

長野のまちに昔からあるけど、骨董とか茶道具とか刀剣とか、門外漢には専門性が高すぎて、これまで素通りするしかなかったあのお店。気になるお店ばかり3店をめぐります。ご一緒にあの店の門を叩き(大袈裟)、店主の奥深い話に耳を傾けましょう。

※定員5名です。

【コース】
楽茶れんが館

宮下美術店

裏権堂通りにある書画・骨董のお店。界隈に料理屋の立ち並んでいた頃は、なじみの上客が多かった――そんなお話も3代目に聞けそうです。書画や骨董とともに、明治創業という古い建物と、金魚が泳ぐ苔むした水盤は必見です。

植木商店

問御所町にある、日本の伝統文化にまつわる茶道具・美術工芸品お香などを扱うお店。この店の軒先に下がる風鈴の音色を聞いて、夏の到来を感じる人も多いのでは。築100年を超える建物自体もまた見どころです。

長野永和堂

南県町にある、古刀や刀装具を扱う剣商。入りづらさでは今回筆頭。武器であり、権威の象徴であり、美術工芸の粋(すい)を集めた刀の魅力について、2代目当主の朝倉さんにお話をお聞きしつつ、刀を間近に拝見させてもらいます。

2月26日(月)、編集者塚田結子さんの「ながの門前まちあるき」を開催しました。テーマは、“日本伝統文化門前プチ入門”です。昔からあるお店だけれど、普段なかなか触れる機会がなく素通りしてしまう“日本の伝統文化”を扱う3店を案内してくださいました。

まず初めは、ぱてぃお大門の蔵庭を抜けて裏権堂通りにある宮下美術店へ。

宮下美術店

祖父の代から100年近く6代続く宮下美術店。京橋の日本画商で修業された宮下博さん。宮下さんから、溢れ出てくるたくさんのお話に、参加者のみなさんも興味深く聞き入っていました。時間が足りないくらい楽しすぎて、また、お話を聞きに出かけてみたくなりました!!

 

毎日手をかけている自慢の苔むした水盤。裾花川でしか採れない大変貴重な石は苔が生えやすいそうです。

 

今回の記念にと、参加者さんへお土産まで用意してくださいました!明治33年の漆の菓子皿。思いがけない粋な計らいと、貴重な品物に、皆さん大喜びです(^_^)♪

(左)東御市生まれで日本で指折り数える水彩画の名手、丸山晩霞(まるやまばんか)

(上)昭和で一番コレクターに愛された作家、長井雲坪(ながいんぺい)

(右下)宮下さんの先輩、池田満寿夫 書

“地元の絵描きさんを皆さんに紹介したい!”、そして、“「昭和」を残し「昭和」を伝えたい”!!という熱い想いと愛が込められたとても素敵な“ギャラリー”です。

宮下美術店の次は、SBCさんの裏を通り中央通りへ。2軒目は植木商店です。

植木商店

昭和の始め、先々代がこの地に建てた頃の貴重なお写真。植木商店の歴史を感じることができます。(お話:植木修一氏)

昔は工芸家具なども扱っていましたが、和室や床の間が減り、売るものも小ぶりになってきたとのことで、茶道具・華道具・お香・骨董などの美術工芸品、“和の美”が所狭しと並び見ているだけでワクワクしてしまいます!

(左)100年以上その当時のままの欅の階段に、一尺の欅の大黒柱など建物自体も見どころです。

(右)武者小路実篤直筆の書。彼が好きな言葉を書いてくれたそうです。“為書き”いり!※こちらは売り物ではありません。

この佐久間象山の置物は、川中島古戦場の八幡原史跡公園内長野市立博物館の佐久間象山像の原型だそうです!

植木商店の次は、もんぜんぷら座の横を通り、今日のトリ、長野永和堂です。

長野市永和堂

お話は、朝倉忠史氏。今回この「日本伝統文化門前プチ入門」のまちある回のために、普段は見る事の出来ない特別な品々を展示してくださり、1300年という長い歴史のある日本刀の世界を、深く深く掘り下げてお話してくださいました。

※展示品は全て今回特別に展示していただいたものです。

今回特別に、間近で拝見し、実際に触れさせていただきました。貴重な体験に、参加者の皆さんも大興奮でした!!

※今回特別に見せていただきました。

普段は見る事の出来ない、とても貴重な“刀装具”や“小道具の名品”も、今回特別にご用意してくださいました。拡大鏡で見る、とても細かで繊細で美しい装飾技術に思わず歓声とため息がこぼれます。

※今回特別に見せていただきました。

※今回特別に見せていただきました。

※今回特別に見せていただきました。

拡大鏡でよく見ると、猫の目は魚眼でガラスが入っています。

※今回特別に見せていただきました。

「日本刀名鑑」日本の過去の刀鍛冶の名前全てが載っている本。これでもまだほんの一部で、ある程度名前の知られた刀鍛冶が記載されているそうです。そして、長野県は「高橋次平」、人間国宝「宮入行平」、行平の息子「宮入小左衛門行平」など、多くの有名刀匠を輩出しています。現在も、坂城町生まれの人間国宝「宮入法廣」などの現代刀工が活躍しています。

日本刀の定義:平安後期に作られ、玉鋼(日本独自の鉄“和鋼”)を鍛造(たんぞう)形式で作り湾曲のあるもの。五つの地域に伝わる鍛造技術 “五箇伝”で作られる。(弥生時代や古墳時代のものは日本刀とは言わず“剣”と言う。)

そして、日本刀の国宝は122点、重要文化財は790点もあり、それだけ歴史が深いものであることがよくわかります。

幕末の信州の大名工「山浦真雄・山浦清麿兄弟」。清麿は日本刀史上最高の名工と称されており、信州の刀ですが、全国に愛好家がいます。信州の誇りですね!

※今回特別に展示していただきました。

今回のまちあるきでは、どのお店も、数時間では足りない程沢山のお話をお聞きし、とても勉強になりました。新しい発見や知識を得、改めて、日本の伝統文化や美術工芸品の奥深さと凄さを体験し、魅力がたくさん詰まった濃厚なまちあるきでした!