REPORT

薪・ペレットストーブロード

2020年11月21日

日時:11月21日(土) 10:00~12:00

 

参加人数:10名

案内人:小田切隆一(おたぎり りゅういち) 古民家工房URIWARI/小田切電設

プロフィール
門前でのリノベ工事にかかわりながら、薪やペレットの普及活動にも取り組む。自宅では、新型レンガ造ロケットストーブが昨冬から稼働中。

コース案内
善光寺仁王門から西に延びる旧西山中街道は、かつて門前町に山からの薪炭(エネルギー)を供給していたライフライン。商店や問屋などが軒をつらね、賑わっていたそうでう。いままた門前まちで増えつつある薪・ペレットストーブを訪ねて歩きながら、“まちとエネルギー”を一緒に考えましょう。

コース
楽茶れんが館

西之門・こまつや
門前の人気レストランにペレットストーブが登場!

東町・菓恋
MOKI(モキ製作所:千曲市)の薪ストーブがあるシフォンケーキのお店

東町・TIKU-
薪窯にこだわるピザ店

仁王門~西長野・旧西山中街道(鬼無里街道)
かつては薪炭店や戸隠・鬼無里の特産品を扱うお店などで賑わった商店街の”なごり”を探しながら、旧街道歩き

西長野・S邸
古民家リノベ住宅にある鋼板製ロケットストーブ

新諏訪・松本薪炭店
現在でも善光寺界隈に炭を届ける燃料店

新諏訪・古民家工房 URIWARI
レンガ造ロケットストーブのある古民家

※終了後、薪炭でのピザランチミーティング(希望者のみ別途カンパ制)
※「新諏訪公民館前」より、善光寺・長野駅方面へのバス 12:52発


昨日とは変わり、風が涼しくも快晴となり本日もまちあるき出発となりました。

早速、昨冬からペレットストーブを導入した、イタリアンこまつやさんに向かいます。

 

もともとガスストーブを利用しており、あまりにシンプルな作りでよくワインセラーと間違われてしまうのだとか!


こまつや店主さんからは暖かさが全然違うし、火が燃えているのが見えるのもお客さんへの印象もほっこりに変わりそうです。

西町東町の通りは昔ながら地元向け商店で栄えていて、
特に東町は問屋街で賑わいがありました。

菓恋さんに到着です。
お店の入り口すぐにおしゃれストーブがありました。


こちらのストーブ製作のもき製作所の社長さんはユニークな方だそうで、

燃焼哲学というものが燃えた際の熱上げ方上がり方など研究して、その原理をストーブに利用していると言うお話もお聞きできました。
菓恋さんでは、暖房はこのストーブのみ。
土壁が熱を吸収保温して暖かさを保ってくれているそうです。

シフォンケーキもちろん大好評です。

 

そしてお隣のTIKU-さんへ

お店オープン9年になるそうです。

リノベーションでピザ窯設置当時は、煙突の存在感がありすぎて、少し戸惑ったようですが、周りの壁などと色合いを合わせていただき調和できて更におしゃれな感じにみえます。

まちなかに煙突を設置するということで、ご近所さんへの煙対策として、ピザ窯に煤取り機が同設されています。
機内には水霧吹きがついていて、そこで冷却も同時に行っています。
この煤取り機のおかげで煙が出ない煙突になっています。

店主中澤さんの窯こだわりがピザにも出ていて、こちらのピザも大人気です。

断熱材厚めの煙突が外まで続いています

ならまきを利用していて、現在は鬼無里まきセンターから買っているそうです。

薪がちゃんと乾燥しているものでないと、綺麗に燃えず、煙も沢山でるのだそうで、小田切さんが外の薪の水分量を測ってくれました。
すると10%という表示が!
木の水分量10%はかなり渇ききっている状態で、燃えやすいそうです。
針葉樹と広葉樹で乾く時間がかなり変わるそうです。

ふたたび善光寺を横切り、鬼無里へ続く旧西山街道を新諏訪まで歩いて行きます。

道中では門前周辺が問屋や商店で溢れていた様々な名残があり、その時代のことがまちの現状からもたくさん発見できました。

また、その時代の朝日山が禿げ山だった写真を見せていただき、当時は周辺の山々が順番に禿げ山になるほど燃料の薪を供給していたこと、ふるさとの歌が作られたときの風景が実ははげ山だったのではというお話も印象的でした。

昨年12月にやぎのぜんちゃんと散歩するまちあるきの案内人を務めていただいた佐倉先生のお宅へ。


なんと佐倉先生のお宅には鋼板製ロケットストーブ、かぐつちがあります。


こちらのご自宅も元々の家をリノベーションした物件で、壁は色を塗り替えてあるものの、土壁です。
やはり居住していてストーブは暖かさが全然違うそうです。
また、一度手前の鋼鉄箱で薪を燃やして、さらに奥の鋼鉄箱で二次燃焼を行い最初の燃焼で燃えなかったガスなどもここでほぼ完全に燃やしきって綺麗な煙を出すと言う原理だそうです。

 

先ほどの菓恋さんの室内同様に輻射熱を土壁が吸収して保温性が高いのだそう。
昔の人たちはかまどの火を常に絶やさないように見ていた人がいたため、その火を常に壁が保ち続けていて昔の家屋はそんなに寒くなかったのではないかと言うお話も小田切さんがされました。

最後に、現在でも薪炭を商われている「松本薪炭店」にお立ち寄り。
店主の松本さんから、西山から善光寺界隈の燃料に関わる時代の移り変わりのお話をお聞きしました。

松本さんは鬼無里出身で、元々鬼無里という字は、木那里と書いたそうです。

明治19年から代々お店をされています。

当時は150件あった炭屋さん
時代を重ねるごとに、納めていた総量が、8万5千俵から段々と減って、今ではほとんど薪炭はご家庭でも使われなくなりました。

また、当時には先代が山から木を切り出すときに崖から落ちてしまったびっくり話もありました。(ちょうど雪の中に落ちたため無事だったそうです。)

こちらで作られているのは、某お寺にも納められている弾けない、煙が少ない手間隙かけられて作られている備長炭です。

芯が詰まって、ぶつかるとかきーんと鉱石のような音がします。
松本さんから、本日は参加者の皆さんに持って帰ってと備長炭のプレゼントをいただきました。
冷蔵庫に入れるだけでも消臭効果もとても高いそうです。
また、お米と一緒に炊くと本当に美味しいご飯に炊き上がるとか!!
ぜひ試したいです!
(食品に入れる前に、煮沸消毒をお願いしますとご案内もありました。)

貴重な備長炭をありがとうございます。
使ってみるのが楽しみですね。

松本さんからお土産をいただきお礼の挨拶をしながら、最終コースに向かいます。(なんと松本薪炭店の道を挟んで向かいにあります)

本日の案内人小田切さんの自宅兼工房、古民家工房URIWARIです。
外には小さなかわいいピザ窯がすでに用意されています!!


中におじゃますると実はこちらの物件は小田切さんの先代のお宅だそうで、元々肥料屋さんだったこともあり、様々な薬品取扱の証書と思われるプレートが壁にかかっています。


玄関が土間作りになっていて古民家感すごい!

そして早速小田切さんのロケットストーブを拝見します。
ストーブの形は先程の佐倉先生宅と似ている感じですが、
写真でも見える通りれんがで薪を焚べる箱部分の周りはれんがでしっかり覆われています。
小田切さんからは、こうしてれんがで周りを囲うことで、窯内の火の温度が上がりより燃焼における熱を高めてあげられるのだそうです。


そうすることで、発生する煙、ガスも燃やすことが出来るので煙が全く見えないほど綺麗な排気になると説明してくれました。
また、煙突を張り巡らせることで、煙突から出る熱を家中に配給出来るため、効率のよい暖房となっているのだそうです。
最後に外から煙突を見てみると全く使っていない煙突に見えます。

目で見えなくても、少しは煙の臭いはあるそうで煙が冷やされると空気の下に降りてきて、臭いで分かるというお話も。

最後に、小田切さんから、かわいいサイズのピザ窯でピザを焼いてみなさんにふる待ってくれました。


最後まで薪炭だけに関わらず、参加者の皆さん同士和気藹々とかいわも楽しみ、今回のまちあるきを美味しく終えることができました。

西山から門前までの生活の変化における燃料の変化の歴史や、当時を想像できる深みのあるまちあるきとなりました。