まちなかデザイン探訪
2021年5月21日
14:00~16:00
参加者:6人
案内人:中村安志(長野市 都市整備部 市街地整備課 課長補佐)
【プロフィール】
市役所に建築職員として入庁。
都市整備部関係と建築関係を半分ずつ経験し、現在は市街地整備課に従事する。
【コース案内】
景観とは何でしょう?
景観法という法律はありますが、景観の定義はありません。
辞書によると「目に映る景色、風景、ながめ」などを指すそうです。
市の表参道に対する景観の取り組みを、まちをながめながらお話しします。
【コース】
楽茶れんが館
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表参道と建築物
長野市景観賞は、人々の景観に対する意識を高め、良い景観の想像を推進することを目的としています。建築物の改築にあたり、表参道や周辺の建物と調和するように配慮された作品について紹介します。
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表参道と歩行者案内
まちなかに設置された歩行者案内標識。必要な人には「見つけやすく」、不要な人には「目立たない」。デザインや色の工夫などお話しします。
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表参道と石畳
表参道の石畳は善光寺から新田町まで続いています。石畳化や歩道拡幅の整備にあわせた路上パーキング施設の廃止や大型標識の撤去などにより、通りを見上げると善光寺まで一望することができるようになりました。
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セントラルスクゥエア
昨年度オープンしたまちなかの広場です。表参道とのつながりや施設の紹介をします。
今回はまちあるき史上初、参加者全員が男性でした。自己紹介ではそのほとんどの方が“景観のプロ”だということも判明。
案内人・中村さんのハードルがぐんと上がった状態で、まずは『竹風堂大門店』からスタートです。
過去に長野市景観大賞受賞歴のあるこちらの建物。
見るからに歴史を感じますが、実は築15年。
こんなに街並みになじんでいるのは、外壁塗装や屋根・窓の形にいたるまで、周辺の建物や歴史性に配慮した造りだからだそうです。
3階は少し引っ込んだ造りにして通りへの圧迫感を減らしたり、2階窓は旧建物の手すりや窓のデザインをわざわざ取り入れたり。
そんな解説を聞いたら、見慣れた建物が新鮮に見えてきました。
お次は『藤屋御本陳』へ。
こちらは長野市で初めて国の登録有形文化財になった建物で、景観計画においては「景観重要建造物」にも指定されているとか。
建物保全のため、建物に何かしらの手を加える場合には長野市に許可が必要になるそうです。
直近で許可したのは「ハト除け」の設置。
こんな些細な(?)部分に手を加えるだけでも許可が必要なんですね。
景観重要建造物。すごい。
お次は仁王門へ。
参道の石畳の配列はこの門を境に変わります。
表参道からこの門までは12列。ここから本堂までは16列に。
この石の張り方は人の流れの方向を示す意味もあるそうで、歴史的な参道などにはよく使われるのだとか。
門の下は人の流れを切る結界の意味を持つ「四半張り」。
立ち止まってほしい場所などによく使われる石の張り方だそうです。
人を進ませたり、立ち止まってもらったり。デザインの力っておもしろいですね。
お次は昨年、仲見世通りにオープンした『つちも物産店・スターバックスコーヒー』。
スタバの中では甲信越初の「リージョナル ランドマーク ストア(富山環水公園店、京都二年坂店など、日本各地の象徴的場所に建築デザインされ、地域文化を世界に発信する店舗の総称※公式HPより)」です。
「善光寺門前にスタバが!!」と、巷でもかなり話題になりました。
こちらのお店も長野市景観賞を受賞していますが、そこには「伝統と新しさが融合した新しい門前の景観」への市の期待も込められているそうです。
今ある良さを失わない進化する伝統。私も楽しみ…
そしてここでは門前周辺が「景観計画による高さ制限の区域」として、大規模な建築行為をする際は高さを制限(15m以下)をかけられるというお話も伺いました。
制限数値15mには、市が行っているさまざまなシュミレーションの根拠もあります。
お次は参道入口にある案内看板へ。
必要な人には「見つけやすい」、不要な人には「目立たない」よう配慮された看板。
周辺の街並みにもなじむよう、長野の伝統的な色である“黒味をおびた紺色(褐色:かちいろ)”を基調にしています。
お次は本日2回目の登場「景観最重要建築物」。中澤時計店さん。
藤屋御本陳と同じく大正13年(97年前)に建築された、木造2階建て、外観を鉄筋コンクリートで仕上げた建物。
1階2階それぞれが非常に高く造られているのがちょっと珍しいそうです。
たしかに。
南下して『長野信用金庫大門町支店』へ。
こちらは中澤時計店さんに比べて低層な造りに見えますが、鉄骨の3階建て。
表参道側は伝統的な景観に、裏(南面)側は隣接する洋風建物にも配慮されていて、交差点角という立地を生かした「伝統的意匠」×「現代的意匠」なデザインが特徴だそうです。
南側まで続いている軒先は、歩道への落雪防止も兼ねたデザイン。
門前は冬場になると「落雪注意」が張られたコーンが軒先に並ぶんですよね。
(そういえば昔、ぼーっと歩いていて頭に氷みたいな雪が落ちてきて痛かったなぁ…)
駅から歩いてくると、すっと視界が開けて善光寺さんが一望できる表参道。
ここにも石畳化や歩道幅の拡幅、植栽帯の整備など、さまざまな工夫が施されていました。
コンセプトは「石畳を一本と時間軸として、長野駅から善光寺へ現代から古の仏都へ誘われる」。
大切にされていたのは「連続性のあるまちづくり」でした。
最後は『セントラルスクゥエア』。
その昔オリンピックの閉会場として沸いた場所が、駐車場を経て、まちなかの広場として昨年生まれ変わりました。
中央の噴水や奥に設置された遊具「ふわふわドーム」は子どもたちにも大人気。
表参道の石畳と色合いを合わせ、歩道からのつながり・一体感を出す工夫もされています。
見るからに歩道からふらりと立ち寄りやすいですよね。
善光寺表参道は、長野市のメインストリート。
古くから人が行きかったこの通りの景観を、市がとても大切に考えていると具体的に知ることができたし、今の姿になっている意味を詳しく知ることができて、表参道を捉える自分の目の解像度が上がった気がします。
毎日お仕事、お疲れ様です。
これからもよろしくお願いします。
(同行:大日方)
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