街のなか、道のした、水のながれるところ
2024年8月19日
8月12日(月・祝)16:00~18:00
参加者:1人
【案内人】
平野 理大(ひらの りお) カメラマン、ギャラリー支配人
愛知県出身。写真専門学校を出て、都内の広告系スタジオに勤務。2023年に長野市に移住。
【コース案内】
え!この水路ってここにつながってたの!?地図を片手に、隠れた水路を辿りながら、写真家の目線で路地を歩く。初心者が嬉しい簡単なカメラ講座もしながら、古い街並みに隠れた、街の過去を探ってまち歩きします。
【コース】
楽茶レンガ館
➡大門南交差点付近
古い街並みの路地を歩きつつ、スマホやカメラで街並みを撮影してみましょう!いつもの風景に水にまつわる施設が隠れています。
➡POP UP gallery T
道が交差するように“人と文化が交差する場所”。〝お茶“を飲みにくる感覚でふらっと訪れる場所。常に〝問い”を投げかけられるような先鋭的な場所。そんな想いで営んでいます。
➡権堂の中に川
権堂近辺の憩いスポット。セントラルスクエアに隠された川のヒミツを探します!川をたどると、驚きの施設があります。
➡元銭湯近く
ToiGO方向に歩いて行き、路地に潜む川を探しましょう!地図をみると、街の中に隠れた川が浮かび上がってきます。市役所前駅方面へ、写真を撮りながら街巡り。
➡市役所付近
暑い中のまち歩き、おつっかれ様でした!改めて今日撮った写真など見返して、振り返りをしてみましょう。希望者はアイスコーヒーでも飲みながら!※のみもの料金別途
出発式スタート
善光寺から扇状に展開する中心市街地から三輪、古牧地区へ恵みをもたらし続けてきた川(用水)、そのほどんどを裾花川流域から引水しています。郷土史では、そもそも「裾花川」は、江戸時代の初めのころ、松代藩により瀬替えがおこなわれた云々とあり、県庁付近から新田町、七瀬、高田、風間、長池あたりを乱流して、屋島一帯で「千曲川」に流れ込んでいたものを治水工事で現在の南流に変え、「犀川」に注がせたとあります。
歴史的な流れは次回に譲るとして、童心に帰って水路を探してみましょう。
「裾花川」から引水した川は、市街地に入るとほぼ暗渠化されてしまったことで、すっかり自然の風景が失われてしまい、そこに川があることさえ知らない住民も多いのではないでしょうか。まちあるきを通して隠れた川の水路をたどりながら、川と密着して暮らしてきた人々のまちなみをたどってみれば、何か沸々と河川(農業・生活用水含)に対する様々な思いが湧き上がってきますよ、きっと!
出典 : つれづれなる水の流れ~長野市の八幡山王堰~
➡大門南交差点付近 ←それは「鐘鋳川」でした!
平野さんの説明が始まる。
長野県庁北西の鐘鋳堰分水工で分岐された「鐘鋳川」は、旭山を背景に長野地方裁判所~信大前の大通りを渡ってきます。「中沢川」、「八幡川」、「古川」、「計渇川」、「四ヶ郷用水」が県庁東側の大通りを西から東へ渡ってきます。
鐘鋳川は、高い丘の等高線に沿う形で水路がつくられていることから、地形を巧みに利用しているようです。自然の川というよりは農業用水として利用されたのでしょう。流路は、ひまわり公園の南から市立図書館へ、亀の湯で温泉の排水を受けとり東へ直進してきます。ちなみに亀の湯さんの建物のど真ん中に湧き水がこんこんと湧いていたそうです。
中央通りを渡り、酒まんじゅうのつるやさんとカシオさんの間をぬけ、小劇場ネオンホールの前の公衆トイレのことろで、進路を白鳥山康楽寺方面に舵をかえます。406号を渡り武井神社を左手に仰いでから、ムード全開の趣のあるまちなみの中をそろりそろりと三輪へながれていく。途中で「湯福川」と合流します。この辺りには昔ながらの染物屋さんもあったして川に寄り添って営まれてきたことがよくわかるエリアです。石積みがよく、古い街なみを辿れるエリアでおすすめです。
平野氏格言1:「銭湯、公衆トイレあるところに川あり」
➡POP UP gallery T
平野氏が運営するギャラリー。イベントはアットランダムに開催しています。開催中の展示は、新鋭な2人のアーティストの作品を集めたそうです。既存の絵画に現代POPがシンクロするとまったく別物の産物に化けちゃてる。ビフォー、アフターの間を詮索するのが楽しい。アートはわたくしよくわかんないけど。
➡権堂の中に川 ⇒それは「中沢川」でした!
上流をさかのぼってみましょう!
戸隠山域の雨や雪の恵を運んでくる裾花川は、長野県庁北西の鐘鋳堰分水工で分岐され、鐘鋳川と八幡川に2股に分かれます。善光寺平の暮らしと農業を支えてきた静脈と動脈のような2つの命の川。先の鐘鋳川ですが、分岐してから南東の方向に向かい、妻科神社の脇にたどりつくと、ここから鐘鋳川本流から派生した支流の中沢川がはじまります。中沢川はホテル国際21から犀北館を通過して直進し、北野文芸座から中央通りを南下して、やま本店の前で左折してセントラルスクエアの北側、金刀比羅社の前でやっと呼吸をしに顔を出します。
そう、目の前を流れる川は中沢川です。と平野さんはググりながら水路を説明を続けます。
ここからは同行者の元実家の前をとおるので、よ~く知ってるのですが、このまま下流へはテルメドール温泉の正面を通過して、スナックキャバレー界隈をくねくね後ろ髪惹かれる思いで、今日はストレス発散してえなーっていやいや進んでいき、大通りの下をくぐって、たちばな、中央病院、鶴賀病院裏の線路を渡って守田公園から北条町の団地をぬけて平林の警察アパートの前で「北八幡川」と出合います。もう一つの別支流が柳町から方面からやってくるのですが、柳町の交番過ぎた陸橋に早川木材って今あるのかな?その脇の暗渠から出てくるところが私の水遊び場でした。権堂の酔っぱらいのゲロや私の小便もあったりしてもう排水川の状態、これがら稲作地帯(昭和40年代まで)が拓けてくるというのに、ますます汚染水になっていくみたいな。古牧地域の農家さんすみませんでした。
➡元銭湯近く ←それは「北八幡川」だった!
下流方向へ目を向けると、道の曲がり方は川の自然な曲がり方をしているので、ちょっと怪しいですね!そー、ちょうどこの場所にもかつて銭湯がありました。航空写真を見てもらいますと、他のブロックに比べ、TOiGOは少し台形ぽくなっていてその縁を川が沿っていますね、まちの地形の様子が、川の発見の手掛かりになります。「北八幡川」が再び姿を見せるのは鍋屋田小学校正面ですね。地域住民の自然保全活動によって、ホタルが見れるようになりました。用水として利用されているだけではなく地域の景観美化に貢献しています。街中にこんな場所をひとつひとつ増やしていきたいですね!※この画像の場所からTOiGOの敷地へ分岐して流れる支流もあるようで、昭和通りを南に渡り、TOiGOの立駐の西側に周り込んで「南八幡川」に合流します。中心市街地のコンクリート地盤の下は分岐、合流があちこちでおこなわれていてまるでクモの巣のようだと推察できます。
平野氏格言2:「区画の不自然なところに川あり」
それからまた路面にもぐりこみ、大通り、市役所の庁舎の間を通過~消防署~、東通りを渡って、長野信用金庫本店の北脇を通過して中村、北条のまちを流れいき、守田廼神社をうかがって古牧地帯(昔は本格的な稲作地帯)に水を届けにいきます。わたくし、少年のころ古牧小学校の前で雨天で増水した「北八幡川」に自転車ごと落ちて桃のように流れていきましたが、大人たちに助けてもらいました。
善光寺七橋の 「鶴ケ橋」。よくあるパターンですが、源頼朝公がこの橋で清めたといわれています?
今回は、市役所方面の下流ではく、「北八幡川」の上流をさかのぼってみたいと思います!
上流には旭山が見えますね!大通りの下を流れる場所は、いくぶん舗装が膨らんでいることが多いですね。
平野氏格言3:「道路が盛られている場所の下に川あり」
中央通りを西に渡った小路には井戸が散見できます。足元はコンクリートですっかり蓋がされています。典型的な暗渠工事です。
蛇行した小径。耳を澄ますと川の音が聞こえてきますし、風のよく通り抜けます。まち散歩におすすめのコースです。同行の長崎さんによると昔の都市設計の中で、大門町から下の地域の川は、蛇行する川にそのままふたをして暗渠にした例が多いのとことです。
平野氏格言4:「曲がりのある小径はそっと耳をそばだてるとそこに川があり」
ここから県庁通りまで北八幡川の左岸に遊歩道が整備されていてます。ここでカメラの撮り方のレッスンします。「あえて逆光を利用すると、川を美しく撮影できます、太陽マークを上下して・・・」。やばいね、プロだわ、アートにしちゃったよ。
きれいかきれいじゃないと言ったら?、きれいじゃない!。雨天の日は、泥水を含んでいるそうです。
信濃毎日新聞社ビル前で「北八幡川」と「南八幡川」に分水します。
左は「北八幡川」。右へ「南八幡川」、ここで「南八幡川」の川筋について少し補足しておきます。
「北八幡川」と別れて南下して、昭和通りを東上し、渡って、モンゼンプラ座の荷受けから銭湯のある路地にそって、中央通りを渡って、JALシティ、しまんりょ小路をくだってから、見違えるほどに美しく整備された水路に顔を出します。かっぱもニコニコ出迎えこのあたりは憩いの場所です。それから東京ガス、七瀬の住宅街をぬけて、長野商工会議所にオイッス!をして、上高田、南高田方面のかつては米どころへに向かいます。
もんぜんぷら座の再開発の際には、暗渠を取り合ずして水路を整備するのもありですね、透明度が高い場合に限って。
交差点の脇に円柱ビルが見えますか?その手前に川の名残の橋脚が確認できますか?この横を「古川」が石堂町に流れていきます。
※餃子飯店の裏を流れていく古川。後日撮影追加分
八幡川の出発地点はもうすぐです。県庁の前を流れていく
県庁の立地とその周囲を川がぐるりと囲んでいるところから風水の話題もでましたが、濃くなりそうなのでここでは割愛いたします。
長崎さんに似てません?
「大口分水工」まできました、ここが今日の最終地点です!。裾花川が元締としたらここは番頭さんですかね、手際よく水を振り分けます。ここから「八幡川」が産声をあげます。画像左から八幡川、真ん中が古川、左が漆田川の3堰に分水しています。八幡川の流路は、裾花川の旧流路に重なっているそうです。
八幡山王堰(はちまんさんのうせぎ)を見る。裾花川から取水しています。住宅の側の堰を下ると洗い場があります、この辺りの水はきれいでしょうね。
今回のまちあるきをとおして、中心市街地は裾花川の恩恵をどれほど受けてきたことだろう、歴史の見地から~地理的&地域的な側面からも川を両眼で捉えることができました。わたしたちは、農業、漁業、産業経済、健康衛生、交通、安全性、景観、公共性等々から派生する課題も裾花川に重荷を背負わせてしまっていますね!そこ深くツっコまれるとすぐにわたし死んだふりをしますが、まずもって名称を「御裾花川」に改名して紫綬褒章を与えるべきでしょう笑
暗渠化はまちの風景を消してしまいます、そこにある暮らしや文化も失わせてしまう。川と密接につながってきた魂にふたをしてしまった。生態系への影響はさらにしんどくその影響は計りしれない。人為的に堰をつくり整備してきたその利益も享受してきたことも事実ですね、わたしたちは、今、暮らしと川の関係を見直す瞬間に向かい合っているんだと気づかされました。気づきのすそ野がひろがれば大きなうねりとなっていくはず。平野さんにまちあるき金メダルを贈呈したいです。ないですけど。
僭越ながら、御裾花川様、いつもお役目ありがとうございます。謹んで感謝を申し上げます。あなた様の尊い存在に気づかず生きてきてしまいました。この場から仰ぎ見て懺悔いたします。これからも未来永劫何卒よろしくお願い申し上げます。
↓おさらいで、メインの支流だけなぞってみました。県庁前塗り忘れありますし、あやふやのところもありますので、落書き程度としてながめてください。乱文すみません。
《 同行&記録 高野 》
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