REPORT

表参道今昔双六案内

2023年3月22日

13:00~15:00
参加者:6人
 
【案内人】
細井雄次郎(長野市教育委員会文化財課)
昨年度まで長野市立博物館勤務 過去に「屋根瓦」「絵馬」「徳本行者」についての展示を企画
 
【コース案内】
明治35年発行「長野市商業案内双六」と大正の長野市街地図を使って双六に掲載された店舗跡を探し出して訪問します。当日サイコロを使って振って出た目で行先が変わるので、お楽しみに。移動の途中で見かけた屋根瓦や石造物についても説明します。※オペラグラス又は双眼鏡があれば持参
 
【コース】
楽茶れんが館

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(例)藤屋陶器店
恵比寿大黒が描かれた大きな杯を看板としている藤屋陶器店は、現在のぱてぃお大門の小川の庄あたりに店を構えていたようです。昭和2年の刊行された「長野市市区改正記念 中流商店、銀行、旅館、建築構造写真帖」には藤嘉商店の名で店舗の写真が掲載されています。
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(例)鈴木洋物店
かどの大丸(そば屋)の南隣に店を構えていた洋品店です。明治23年開業。写真帖には立派な洋風の建物が掲載されています。
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(例)竹村時計店
再開発で東後町にグランドハイツ表参道弐番館ができる以前、中央通り沿いに店を構えていた時計店です。「写真帖」によると明治36年の開業をされます。壮六の上りとしてひときわ大きく描かれているのは、開業前の宣伝を兼ねてでしょうか。

 
楽茶レンガ館:信濃中牛馬合資会社-明治45年創業
雨降りなので、地図を広げるの大変ですので、あらかじめ、案内双六と市街地地図を見比べて予習です。
  


こちらが明治35年発行「長野市商業案内双六」です。洋服屋、洋酒店、陶器店、時計店、下駄屋、洋食店など掲載されていますね。ゲーム感覚をちょっぴり取り入れたお店の紹介広告紙といった感じですね。絵の中のあちらこちらに西洋化が進んできている風景がみられます。当時の番頭さん、お客さん、行きかう人々でにぎわっていた善光寺門前界隈が目に映ってきます。
 


参加者さんがサイコロ振って、6の目がでました。6コのマスを進むと
 


深沢洋品店に止まって
 


深澤洋品店
地図をのぞきこむと、現在のサンクゼールさんのところにありました!
 

昔の写真と比べてみると
 

まんまの残ってます。壁の「徳」の文字のところが削り取られていますね。かつてのオーナーさんの名前でだったそうです。こんなあんばいで今日のまち歩きは進んでいきます。

 

藤屋御本陣さんから西の向かいの方角に目を向けると

 

いました、いました!竹風堂さんの南隣の武井工芸店さんの屋根には置物の鳩が時を越えて佇んています。ここに気づかれる参拝者はほぼいないでしょう。

 

てくてくてく・・・・。

 

《花岡酒店》
旧北国街道沿いにある元花岡酒店。よかった、ありました!道からつづくその奥にはかつて酒店をしていた時に倉庫として使われていた蔵(今は多目的ギャラリー花蔵)がありまして、

 

入口には当時の繁盛ぶりを偲ばせる立派な鬼瓦が展示されています。

 

《竹村時計店》
表参道に戻ってきました。ここにはかつて竹村時計店がありまして、明治36年頃に開店しました。今は、マンションのグランドハイツ表参道弐番館になっています。

 

 

この竹村時計店は双六のど真ん中に描かれています。広告費にお金かけていますね!大バーゲンセールでも企画していたのでしょうか。

 

《十念寺》
 鎌倉時代創建の由緒あるお寺。徳本(とくほん:江戸時代後期の浄土宗の僧・念仏聖。紀伊国日高郡の出身)さんが書かれた「南無阿弥陀仏」の石碑があります。字体は全体に丸みを帯びており、独特の風味があります。念仏行者として全国を巡礼し、熱狂的な支持を集めたそうです。今でいうトップアイドルでした。

 
➡動画
IMG_2460

サイコロの目は、笑ってしまうのですが、何度も何度も今は行方知らずや立ち寄ってきた店に当たってしまい・・・・。双六&地図ではもはや追跡できない店舗も多くて、、、掲載されている店舗で今なお面影を残している形跡を発見できることがむしろ奇跡なんです。

 

地蔵堂➡割烹かしく➡てくてくてく・・・

 

曲面稲荷神社の裏に石碑の集まりがあります。「見ざる・言わざる・聞かざる」が彫られている石碑がありますので、お出かけいただいて見つけてみてください!

 

外冷えしてきましたので、門前商家ちょっ蔵おいらい館でお開きになりました。
この移築され保存されている三河屋庄左衛門商店は、菜種油製造問屋として菜種油や蝋燭を扱って商いしていました。幕末の善光寺門前の商家の営みぶりが感じられる貴重な建物ですね。
案内人の細井雄次郎さんは、マントを羽織っての登場で、演出をお盛り上げていただいきました。双六でのまち案内はこれまたおもしろかったですね。説明もわかりやすくて新ネタもポンポン教えていただき、歴史好きのお父さんたちは帰るのを渋っておられました。

(同行:高野)